①心理学の前史
「心理学の過去は長いが、歴史は短い」
エビングハウス(Ebbinghaus,H.)
前史は哲学。
ルネッサンス以降の17~18世紀末における西欧哲学。
生まれたときから物事を正しく理解する力が備わっているとする理性主義。
生まれてからの経験によって物事の概念を学んでいくとする経験主義。
心理学の成立により大きな影響を与えたのは、経験主義。
物事の観念の成立は絶対的なものでなく、確率的なものだという考えが、心理学の成立に影響を与えた。
観念同士が結びつくことを連合という。
連合は、心理学における学習の原理の原点。
観念の連合は、経験主義の視点で考えると、最初から正しい結びつきが決まっているわけではない、ということになる。これによって、学習における個人差を説明できた。
経験主義は感覚を重視する。
自然科学の領域でも、感覚を重視する考え方が生まれていた。
19世紀前半。
精密測定機器の登場。
コンマ何秒まで測定できる時計(クロノスコープ)、血流量を測る装置、電気刺激を与える装置など。
ドイツのベルリン大学を中心に、生理学者の間で、視覚や聴覚など感覚の仕組みを説明する理論が次々と誕生。これらの理論や実験方法が心理学に持ち込まれる。
19世紀半ば。イギリス。
ダーウィン(Darwin,C.)の『種の起源』(1859)。
進化論。動物の構造の比較。
動物を系統的に並べる。人間の特殊性。
ダーウィンの後継者。
ロマニーズ(Romanes,G.)の『動物の知能』(1882)。
動物の能力の比較→比較心理学という分野の誕生。
心理学は、
基盤となる哲学と、生理学・進化論という自然科学の要素によって誕生した。